資料館ノート
民間療法
かつては、医療施設が身近になかったり、高額な治療費や薬代を支払うことができないために、医者に掛かれない人がたくさんいました。そんなとき、人々は伝承や生活の知恵をもとにした“民間療法”を用いて、病気やケガを克服しようと努めました。
身近な植物や虫を煎じて飲んだり、塗り薬にしたりと、その方法は様々でした。「風邪や夏バテには梅干しを食べるとよい」などは、現在でもいわれる民間療法ですね。
また、古くは病気の原因は“悪霊に憑かれた”ためと考えられ、神仏へのお祈りやご祈祷で病気を“退治”することも行われました。仙台市内でも、宮城野区中野の「耳取観音」(耳の病を治す)、青葉区荒巻の「三居沢不動尊」(目の病を治す)など、病気平癒をお祈りした場所を72か所見つけることができました。まだまだあるかもしれませんので、ご存知の方は、ぜひ情報をお寄せください。
現在は医療施設が充実し、また、保険制度で治療費などの一部を賄うこともできるようになりました。病気やケガをしても病院で診てもらうのが一般的ですね。しかし、馴染みのある生活の知恵や身近に奉られた神仏に目を向けると、人々が伝えてきた民間療法の姿を現在もみることができます。
写真1 マムシの串焼き
滋養強壮に効く。
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写真2 白藤観世音(仙台市泉区小角)
婦人病を治してくれると信じられ、
腰巻や脚絆などを奉納する。
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